「具体」と「抽象」を使いこなせば、人生の「なぜ?」がわかる!
みんなは、勉強や部活、友達との会話で「なんか話がかみ合わないな…」と感じたことはありませんか? 先生の話が難しく感じたり、友達とのケンカがいつの間にかわけのわからない言い争いになったり…。
実は、これには**「具体」と「抽象」**という、思考の「タテの軸」が関係しているんです。この2つの考え方をうまく使いこなすと、物事の本質が見えて、毎日の生活がもっと楽しく、スムーズになります。
1. 「具体」と「抽象」って、そもそも何?
すごくシンプルに言うと…
「具体」
「今、目の前にある、はっきりしたこと」
例:「この赤いりんご」「今日の放課後、コンビニに行く」など、だれが見てもわかることです。
「抽象」
「たくさんのものに共通する、見えないルールや考え方」
例:「赤いりんご」も「赤いトマト」も、共通する**「赤」という色です。「コンビニに行く」も「ゲームをする」も、共通する「放課後の過ごし方」**という概念です。
「りんご」という具体的なものから、「食べ物」という抽象的なグループにまとめたり、「放課後」という具体的な時間から、「自由時間」という抽象的な概念にまとめたりする、これが**「抽象化」**の作業です。
逆に、「自由時間をどう過ごそうかな?」という抽象的な考えから、「よし、放課後、コンビニに行こう!」と決めるのが**「具体化」**です。
2. なぜ「具体」と「抽象」の往復が大切なの?
もしも「具体」だけ、または「抽象」だけで考えていたら、どうなるでしょうか?
「具体」だけの人
言われたことしかできません。
例:「今日の宿題は数学のドリルを5ページやること」と言われたら、その通りにやります。でも、なぜその宿題が必要なのか、数学の力がどうつくのか、といった**「なぜ?」**の部分がわからないので、応用がききません。
「抽象」だけの人
口ばかりの人です。
例:「将来、世界を変える発明をしたい!」と夢は語るけど、**「じゃあ、明日から具体的に何をやるの?」**という行動が何も伴いません。
大事なのは、この両方を**「行ったり来たり」**することです。
例えば、テストでミスをしたとします。
具体:「社会の年号を間違えた」
抽象:「どうして年号を覚えられないんだろう? もしかして、ただ暗記するだけじゃなくて、歴史の流れを理解する方がいいのかな?」
具体:「よし、次は年表を作って、歴史の流れを絵で描いてみよう!」
このように、「具体→抽象→具体」と考えることで、ただ問題を繰り返すのではなく、根本的な解決策を見つけることができるのです。
3. 話がかみ合わないのは、見ている場所が違うから
友達や先生との会話で、話がかみ合わないと感じるのは、お互いが見ている「タテの軸」の場所が違うことが多いです。
例えば、部活の練習で。
先生(抽象的):「もっとチームとして、声を出し合って動くように!」
A君(具体的):「いや、それより俺は、自分のパスの正確さを上げたいから、今日はパス練習をしたいです!」
先生はチーム全体の**「目的」という抽象的な話をしているのに、A君は自分の「やるべきこと」**という具体的な話をしている。この2人は、同じ場所を見ていないから、話がすれ違ってしまうのです。
こんな時は、まず相手が**「具体」と「抽象」のどのレベルで話しているか**を考えてみましょう。そして、少しだけ自分のレベルを相手に合わせるようにしてみると、きっと話が通じやすくなるはずです。
4. 日常で「具体」と「抽象」を鍛えるには?
この力を鍛えるのは難しくありません。日常の「なぜ?」を大切にすることから始められます。
「なぜこの授業は必要なんだろう?」 → 抽象:「基礎的な考え方を学ぶためか」
「なんであの人はいつも遅刻するんだろう?」 → 抽象:「時間にルーズというより、準備に時間がかかっているのかも?」
「このゲームのルール、なんでこんな風にできているんだろう?」 → 抽象:「面白くするための工夫か? プレイヤーの緊張感を高めるためか?」
どんな小さなことでも、**「具体」→「なぜ?」→「抽象」**という習慣をつけるだけで、見ている世界がどんどん深くなります。これは、学校の勉強にも、将来の仕事にも、きっと役に立つはずです。
今日から、身の回りの物事を「具体」と「抽象」の視点で見てみましょう! きっと新しい発見があるはずです。