CG制作における日常学習の重要性:アニメーター、モデラー、コンポジターの視点から

 

街並みを歩く人々を観察するアニメーターの画像

近年、映画、ゲーム、アニメーション、広告など、様々な分野でCG技術が活用されています。CG制作のクオリティは日々向上しており、よりリアルで美しい映像が求められるようになっています。

このような状況下で、CG制作者として常に第一線で活躍するためには、日々の学習が不可欠です。CG制作の技術は常に進化しており、新しいツールやテクニックが次々と登場します。そのため、常にアンテナを張り、最新の情報を収集し、自己成長を続ける必要があります。

しかし、CG制作の学習は、机に向かって専門書を読むだけではありません。日常生活の中で様々なことに興味を持ち、観察力を磨くことも重要です。街並みや人々の動き、光の当たり方、自然の風景など、あらゆるものからインスピレーションを得ることができます。

また、CG制作以外の趣味を持つことも大切です。趣味を通じて気分転換をすることで、集中力や創造性を高めることができます。

この記事では、CG制作者が日常で学ぶべき過ごし方について、アニメーター、モデラー、コンポジターの視点から解説します。日々の生活の中で意識すべきことや、具体的な学習方法などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1. アニメーター

動きのメカニズムを理解するアニメーターの画像

  • 日常の観察: 街行く人々の動き、表情、服装など、あらゆるものを観察し、アニメーションの参考にします。特に、体の動きは、アニメーターにとって重要なインスピレーション源となります。重心移動、腕の振り方、足の踏み出し方など、動きのメカニズムを理解することで、より自然で説得力のあるアニメーションを作成することができます。
  • 運動: 登山やマラソンなどの運動は、体の動きの連続性疲労による体の変化を体感するのに役立ちます。これらの経験は、アニメーションでキャラクターの感情や状態を表現する際に役立ちます。例えば、疲れたキャラクターの動きは、だんだん動きが鈍くなったり、姿勢が悪くなったりします。
  • 映画鑑賞: 映画を鑑賞する際、人物の演技カメラワークストーリー展開などに注目することで、アニメーション制作に役立つヒントを得ることができます。特に、人物の表情や仕草は、アニメーションで感情を表現する上で非常に参考になります。
  • アニメーションの意味を理解する: アニメーションは、単にキャラクターや物を動かすだけでなく、そこに命や意志を吹き込み、観る人の心を動かすものです。アニメーションの歴史や基本原則(12の原則など)を学び、その意味を理解することが重要です。
  • デッサン: 人体デッサンやクロッキーなどを行うことで、人体の構造や動きをより深く理解することができます。
  • 他のアニメーターの作品を研究する: 他のアニメーターの作品を研究することで、様々な表現方法や技術を学ぶことができます。
  • 自分自身を観察する: 自分の動きや表情を観察することで、アニメーションの表現に役立つヒントを得ることができます。
  • 様々なジャンルの作品に触れる: アニメーションだけでなく、映画、演劇、音楽など、様々なジャンルの作品に触れることで、感性を磨き、表現の幅を広げることができます。

2. モデラー

建物を観察するモデラーの画像

  • 建物観察: 街を歩いている時でも、建物をポリゴン数テクスチャ構造といった観点から見てしまいます。有機的なフォルムを持つ建造物から、無機質な建造物まで、様々な形状を観察することで、モデリングの幅を広げることができます。
  • 公園散歩: 公園を散歩すると、自然の造形美に触れることができます。木々の形、葉っぱの付き方、花の構造など、自然が生み出す美しいフォルムは、モデラーにとって格好のインスピレーション源となります。
  • 自分の身体のサイズを把握する: 自分の膝の高さ、腰の高さ、胸の高さ、目の高さを把握しておくことで、物体のおよそのスケール感が身につきます。CGで作成する際に、ベンチの大きさだったり、ガードレールの大きさだったり、目安になるスケールの感覚が身に付きます。
  • 素材の観察: 金属、木材、プラスチックなど、様々な素材の質感や特性を観察することで、CGでリアルな質感を表現するためのヒントを得ることができます。
  • 写真や動画の活用: 建物や自然などの写真を参考に、CGモデルの形状やテクスチャを作成することができます。また、動きのあるものをモデリングする際には、動画を参考にすると良いでしょう。
  • 他のモデラーの作品を研究する: 他のモデラーの作品を研究することで、様々なモデリングテクニックや表現方法を学ぶことができます。
  • 実物を観察する: モデリングする対象物の実物を観察することで、形状や質感をより深く理解することができます。
  • 様々なジャンルのデザインに触れる: 建築、工業デザイン、プロダクトデザインなど、様々なジャンルのデザインに触れることで、美的感覚を磨き、表現の幅を広げることができます。

3. コンポジター

色の変化を観察するコンポジターの画像

  • 時間帯による色の変化: 常に時間帯によって色がどのように変化するかを意識します。朝焼けの空、夕焼けの空、日中の空など、時間帯によって色の温度が変化することや、影の濃淡が変化することなどを観察します。
  • 写真加工: スマートフォンで撮影した写真を常に意図をもってカラーコレクションをすることで目的に合わせた色調整が身につきます。
  • SNSでの発信: 加工した写真をインスタグラムなどのSNSに挙げて他者から評価されることもやってみましょう。客観的な視点を得たり、モチベーション向上に繋がります。
  • 映画鑑賞: 映画を鑑賞する際、色使い光の表現に注目します。映画の色調、光の当て方、特殊効果の使い方など、コンポジターの仕事に役立つヒントが数多く隠されています。
  • 色彩学の勉強: 色の三属性や補色関係など、色彩学の基礎知識を学ぶことで、より効果的な色使いができるようになります。
  • Photoshopなどのソフトの習熟: Photoshopなどの画像編集ソフトを習熟することで、カラーコレクションや合成などの作業を効率的に行うことができます。
  • 他のコンポジターの作品を研究する: 他のコンポジターの作品を研究することで、様々なコンポジットテクニックや表現方法を学ぶことができます。
  • 絵画や写真など、様々なアート作品に触れる: 絵画や写真など、様々なアート作品に触れることで、色彩感覚を磨き、表現の幅を広げることができます。

なぜボーンデータと基本的な動きだけではいけないのか?

CGアニメーション制作において、ボーンデータと基本的な動きだけでは、キャラクターに十分な生命や個性を与えることができません。なぜなら、

  • 表現の幅が狭まる: 基本的な動きだけでは、キャラクターの感情や内面を十分に表現することができません。喜び、悲しみ、怒り、不安など、複雑な感情を動きで表現するには、より高度な技術や表現方法が必要になります。
  • リアリティに欠ける: 現実世界の動きを観察せずに作成されたアニメーションは、どうしても不自然さが残ってしまいます。人間の動きは、単に関節が動くだけでなく、筋肉の動きや重心移動など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれます。
  • 観る人の心を惹きつけない: ストーリーやキャラクターに魅力があったとしても、アニメーションが単調では、観る人の心を惹きつけることができません。アニメーションは、観る人に感動や興奮、笑いなどを与えるものでなければなりません。

まとめ

CG制作者は、日常生活の中で様々なことを学び、吸収することができます。普段何気なく過ごしている日々の中に、CG制作に役立つヒントが隠されていることを意識することが大切です。常にアンテナを張り、様々なことに興味を持つことで、CG制作者としてのスキルアップに繋がるはずです。

ぜひ、この記事を参考に、あなた自身の日々の過ごし方を見直し、より豊かなCG制作ライフを送ってください。

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