今回のテーマは「アイデアの作り方」についてです。アイデアを生み出すとき、多くの人が0から新しいものを考えようとしがちですが、それが意外と難しい原因でもあります。実は、アイデアというのは「ゼロから作り出す」ものではなく、既存のものから「持ってくる」ものなんです。
これがどういうことか、例を交えながら深掘りしていきます。
アイデアの本質:「構造」を見抜き、応用する
アイデアを単純に「考える」のではなく、「構造」を見つけ出して応用することが重要です。構造とは、ある物事を作り上げる根本的な要素のことです。
この視点を持つと、意外なもの同士が同じ枠組みで成り立っていることに気づくことができます。
例えば、料理の例で考えてみましょう。「カレー」と「肉じゃが」は、一見異なる料理に見えますが、実は構造的には非常に似ています。両者とも肉やジャガイモ、人参などを煮込む料理です。ただし、最後に加える調味料が違うだけで、カレーはカレーに、肉じゃがは和食になります。このように、「料理の構造」を理解することで、異なる料理でも同じ技術や材料を応用できることがわかります。
漫画の構造:作品の枠組みを見つけ、異なるジャンルに応用する
次に、漫画の例で考えてみましょう。「こちカメ」と「ドラえもん」のストーリー展開は、構造的には同じです。
「ドラえもん」では、のび太が問題を抱え、ドラえもんが秘密道具で助けようとしますが、結局うまくいかずに落ちがつきます。これは、「こちカメ」にも応用されています。両津勘吉が自己欲に基づいて何かを企み、最終的には自業自得で失敗するという展開です。
この構造を使うことで、「こちカメ」と「ドラえもん」は異なる設定やキャラクターを持ちながらも、似たような面白さを生み出しているのです。
インフラの構造に着目:スマートフォンとガス・水道の共通点
さらに視点を広げ、社会的インフラについて考えてみましょう。
ガスや水道、電気は、私たちの生活に欠かせないインフラですが、実はスマートフォンも現代社会においては同様の役割を果たしています。にもかかわらず、スマートフォン本体や通信費は個人負担です。この仕組みを「構造」の観点から考えると、インフラでありながらその導入が個人の責任に依存している点が見えてきます。
このように、スマートフォンも「インフラ」として捉え直すことで、ガスや水道と比較しながら新しい発想が生まれるかもしれません。
漫画のアイデアを少女漫画に変換する試み
では、この「構造」を応用する実例として、漫画「デスノート」を少女漫画に変換することを考えてみます。「デスノート」は、ノートに名前を書くとその人が死ぬという設定で物語が進行します。これを少女漫画向けに変換する場合、設定をラブコメ的なものに置き換えると良いでしょう。
例えば、ノートに名前を書くとその相手が自分を好きになってしまう「ラブノート」にする、といったアイデアです。この「ラブノート」という設定なら、恋愛をテーマにした少女漫画の読者にも興味を持ってもらえるかもしれません。ただし、「デスノート」との違いを明確にするために、制約やルールを追加することで独自性を持たせることがポイントです。
アイデア創出のための具体的な手順
- 構造を見つける - アイデアのベースとなる既存の作品やアイテムから構造を抽出します。
- 変換する要素を選ぶ - 見つけた構造の中で、どの要素を変更し、どの要素を残すかを決定します。
- 異なるジャンルに適用する - 選んだ要素を新たなジャンルやテーマに応用し、独自性を出します。
- 制約を加える - 設定に制約を加えることで、よりリアリティや深みを持たせます。
アイデアの「持ってくる」発想と応用力
創作の現場では、ゼロから何かを生み出そうとするよりも、既存のアイデアや構造を「持ってくる」ことが効率的で効果的です。必要なのは、その構造を理解し、どのように応用するかを考える力です。こうしたプロセスを通じて、オリジナリティと再現性を兼ね備えたクリエイティブな作品が生まれるのです。
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